顔には本来の形が残っている

顔には、潜在的に原形が残っています。それは、年齢を重ねても消えることはありません。 正顔法での変化は、その原型に近づく現われとして起こる現象です。

では、原形とは何でしょうか?
例えば、手にできたすり傷。その傷は身体に備わった治癒力により、もとに戻ります。 この身体の働きは傷だけでなく、形状に対しても同様に働くのです。 顔の原型とは、具体的な形を意味するものではなく、傷を治すがごとく、常にもとの形状に戻ろうとするベクトルそのものを指します。 そのベクトルによって現れる形状が、幼い頃の面影に類似するということです。

人間には、遺伝子に沿ったそれぞれ特有の身体のデザインがあります。 その形状は生まれ持った健康体なら、その人の身体の機能、動きに適したカタチとして具現化されています。 カタチの崩れは、身体にとってその機能、動きが鈍ることを意味します。

身体は、機能性重視のデザイン。その形状の維持は大きな意味を持っているのです。
皮膚科学の研究で、このような事例がありました。 人間は太ると皮膚のテンションがあがり、痩せるとゆるむ。 この皮膚感覚で、健康であるべき身体のサイズを常に脳に送り、食事の量を調節しているというのです。

拒食症患者にゴムのウェットスーツを着せ、ギューっと皮膚を縮めると、「やせているよ」という刺激を皮膚に与えることができます。 その皮膚感覚は脳に伝わり、「食事をするべきである」という意識が起こり、脳波の波長が変わって食事の量が増え、体重が増加したという研究発表でした。
これは、表皮が健康な体の形のイメージを脳に伝えているということです。 このような機能が皮膚に備わり、カタチを維持するようプログラミングされているということは、生命活動において、カタチの維持は重要なファクターだという事です。

私のように皮膚ベースで日々、施術をしていると、さらなる皮膚のチカラを実感する現象と向き合います。
皮膚のテンション(張力)は、脳に信号を送るセンサーとしてだけでなく、張力そのものが下部組織を伴い、形状をもとに戻そうとするダイナミックな治癒能力を備えていると仮定しなけらば理解できない現象が実際に起こるのです。
なので、私も素直にそれを受け入れ、既存の概念にない理論を立て、それをもとに美容施術を行っています。

年老いても傷が自然に治るように、顔の形においても、もとの形状に戻ろうとするベクトルが消えることはありません。生きている限り、その力は維持され続けます。
では、なぜ崩れていくのか。複雑な動きを繰り返すうちに、もとの位置に戻らなくなるのです。

笑ったり、怒ったり、驚いたり。 腸に由来する顔は、心や感情に敏感に反応します。 感情を表現する顔は、その度、あらゆる方向に伸縮し、それによって一時的変形と原形を繰り返します。 ですが様々な要因で、元の形に戻りにくくなる時が来ます。 顔の形が変形したまま維持されてしまうのです。

それを「老けた」、「崩れた」と呼びます。 もとに戻ろうとする力を阻害するもの。 もとの形に戻るか戻らないかを決定しているのは、「皮膚」です。
一般では、骨格であったり表情筋であったり、そう思われています。 それはそれで、結果的にはそれらも歪むので間違いではありません。 ところが、たった0.2㎜の皮膚のわずかな劣化が、原状復帰を困難にし、歪んだままを定着させていることは、誰も想像がつかない。

これは、見た目の皮膚の状態ではなく、皮膚の僅かな層の滑走性の問題です。
皆さんが想像する、お肌がきれいとか白いとかいう視点ではありません。 本来の形状と機能の問題なんです。 ですから、皮膚の本来あるべきコンディションに戻すアンロックケアとシェープケア(施術)やリテンションワーク(皮膚ストレッチ)は一対となります。 皮膚の動きそのものまで止めてしまう皮膚表面の固着した不純物を取り除くだけで、お顔の小ささやボディーラインの引き締まりも起きます。

顔が歪んだ期間が何十年経っていても、もとに戻ろうとする皮膚張力は働き続けています。 これを利用しているのが、肌張力正顔法です。
何かを物理的に補ったり、矯正しようとしているのではなく、単に備わっている力を働かせるように整理しているようなものです。 もし、2回転ねじれた状態の目尻なら、ねじれた状態のまま、組織の線維を平面にしようとするのではなく、ねじれた繊維を、2回転戻して本来の状態にするのです。

それを、問題のある部分に繰り返していくと、自然ともとの顔立ちに戻っていきます。 もとの形状に戻ろうとする治癒力が、現状の顔に変化をもたらすので、施術前後ではなく、数週間後にその結果が現れます。そして、顔の形状の戻りが身体全体の形状の歪みにまで連動し、思わぬ波及効果を生むのです。

美容整形との違いはそこにあります。 美容整形は、2回転のねじれを戻さず造形を整えていくので、ねじれは深部に残っているはずです。 繰り返せば、顔面組織の線維張力はどんどん限界に達し、その結果、違和感を感じさせるような顔立ちと、表情の無理な動き、独特の肌質になってしまうのではないでしょうか。

肌張力正顔法のメリットは、本来の形状に近づけることで、ゆとりと自然さをもたらします。 それは、同時に表情の明るさを生みます。 デメリットは、もとの顔以外にはできない。 要するに、自由自在な顔立ちではなく、幼少期にあったような顔立ちしかできません。

画一的な美ではなく、もとの形状に戻し、自身の個性的な美を蘇らせる。 そして、生き生きとした表情を取り戻す。
これが、肌張力正顔法ができることであり、お客様に提供する美容です。
これまでの美容の概念にはない職業と認識して頂けたらと思います。

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