鼻の変形

正顔法を体験されているお客様。その質問に答えるかたちで「鼻の変形」について説明します。
肌張力正顔法は、2つのアプローチから顔の変形に取り組んでいます。 施術と変形に対応するスキンケアです。その活動として、体験されているお客様から限定して少人数制のスキンケア講習コースを設けています。内容は変形に取り組む日々のスキンケアのレクチャーと、それに合わせて顔変形の知識をお伝えする勉強会。正顔法のスキンケアをお伝えするには、知識と理解が必要です。決められた基本の方法を正確に行うことも大切ですが、ご自身の顔の状態に合わせて手法も アレンジできる判断と技量がないと顔変形には対応できません。その為には、自分の顔に何が 起こっているのか、何をすれば良いのか悪いのか、その理解があるとスキンケアはルーティンの ように行うものではないという気づきと、洗顔が顔の形にまでアプローチできるという驚きが実感して頂けると思います。

それでは、勉強会メンバーからの質問。
「鼻のこの骨にはどうアプローチしたらいいですか?目の形に影響が強いと感じるんですが」 鼻のこの骨とは、鼻の穴の入り口付近。ここは鼻前庭と呼ばれる鼻毛が生えている部分で、解剖学的には皮膚なんです。

通常なら、ここに指先をあてても硬い骨を感じるということは無い 筈です。それがダイレクトに骨を感じる。それ自体が顔の配置がズレて起こる変形の典型的な現象です。
ご質問の方は、顔の変形で特に目もとに違和感を感じていました。ですから、顔変形に対応 するスキンケアでも、特に目を意識して実践し、ある程度の改善が実感できたのですが、そこから先が進まない。そして今度は鼻に目を向けたとき、鼻前庭の骨に気づかれたんです。

アプローチの視点が目から鼻へと向かう意識の変化。これは改善に取り組むご自身の経験の中で、 顔の変形は部分的なものではなく相互の連動で起こる現象であり、それぞれに改善を図らなければ 答えが出ないということを体験されたということです。

では、「鼻前庭の骨」の原因を説明する前に、正顔法の「鼻」の捉え方をお話ししておきます。顔の変形という視点において、鼻というパーツをどう捉えているのか。顔の中心にある鼻は、顔の動きに対してバランサー的役割を担うものと位置付けています。高さのある立体構造の鼻は、骨と軟骨でできた土台に皮膚が被さっています。
いくつもの軟骨が屋根のようにくっついて、中の空洞を維持している訳です。しかも鼻先を指で動かすと自由に動くように軟骨同士のつながりには緩い遊びがあります。

口や目の大きな動き、表情の微細な動きに対して、顔の中心にあり柔軟性のある鼻は動きの波をいなすような何らかのバランサーの役割を果たしていると考えています。ですから、目や口に変形からくる違和感がある場合、鼻の位置のズレが一対のように起こっています。
そして、遊びのある軟骨同士の結合でできている鼻は変形しやすい。 変形からくる眼輪筋と口輪筋の輪の広がりは、中央の鼻で複雑に線維が絡み合い、鼻の位置を下方にずらしてしまいます。すると鼻のズレはバランサーの役割を担いきれず、目や口、表情の動きの違和感につながり、その動きの負荷によって全体の癒着が加速してしまいます。
ご質問の「鼻前庭の骨」。それはこの鼻の位置がズレから起こる現象です。

それでは、鼻の位置がズレるという現象を説明します。先ずは鼻の形がどのように変形するのか。
鼻は高さを失い横に広がっていきます。それに伴って鼻の穴の輪郭にシャープさがなくなり、穴自体も大きく広がります。

小鼻は外に広がり陥没します。

このイラストのように、眼輪筋の線維に強く影響を受けている場合は、小鼻の広がりは下方向に、逆に口輪筋の場合は上方向に広がります。

このような鼻の変形、お気づきになったことはありませんか?

では、そのように鼻が変形していく仕組みを肌張力正顔法の視点で説明してみます。
大前提として、眼輪筋と口輪筋の輪筋の広がりが顔の中央にある鼻の形状に強く影響すること。鼻自体の変形の仕組みでいうと、鼻の表面の皮膚は①の変形ブロックに沿って下方に流れます。

そして鼻の穴の入口部分の鼻前庭は皮膚です。それが2㎝ほどの長さで穴の空間を維持してい ます。ですから小鼻の内側は皮膚なので鼻毛が生えている訳です。鼻の表面の皮膚は、鼻の穴から内側に折り返して2㎝ほど続いているんです。


その内側の変形からくる皮膚張力のベクトルは、外側に向かって鼻の穴を広げていきます。

この鼻の穴の形状を維持している小鼻は、上下の皮膚で柔らかい脂肪や線維性結合組織をはさんでいるので、構造上とても変形しやすい部分です。
では、鼻表面の下に向かう変形のベクトルと内側の外に向かうベクトル。この向きが異なるベクトルが、鼻の形にどう影響を与えるのか。
先ず、鼻の表面と内側の皮膚を委縮させ硬く硬直させてしまう。その負荷は、鼻の形状を支える鼻軟骨を変形させ位置をずらしてしまいます。軟骨同士の結合部分が広がり、形状や角度を変えながら下方にずらしてしまうのです。

特に鼻先にある鳥が翼を広げたような形状をした鼻翼軟骨。

この軟骨によって鼻先の高さ、形、向きが決まります。ここが下方にズレながら外側に向かって変形するので、鼻自体の高さが失われ横に広がってしまいます。先ほども述べたように、この鼻の変形には鼻表面の皮膚と内側の鼻前庭の2㎝ほどの皮膚の硬直が同時に起こっています。このとき通常よりも皮膚の厚みが失われ軟骨が指先で感じられるほど薄くなっています。
例えば、鼻先を指で挟んで見て下さい。軟骨の跳ね上がりや、指に突き刺さるような棘とげしさが感じられませんか?
もし感じたなら、鼻の変形が起こっているサインです。他にも鼻の変形のサインとしては、毛穴のいびつな変形が原因だと考えている鼻先が赤くなりやすいとか、イチゴ鼻とかも挙げられます。

では受講者からの質問、「鼻前庭の骨」。
これは鼻の位置が下がることに伴って鼻の下もズレて 皮膚の厚みを失い、そして内側の鼻前庭の皮膚も薄くなっているので、鼻の穴の入り口に指先を入れると下の骨の硬さを感じるということです。

 

では、最後に鼻の変形に伴う周囲の影響をお話ししておきます。 それは、ほうれい線です。

ほうれい線は医学用語で鼻唇溝と呼ばれ、誰もが生まれながらに持っている頬と上唇との境目にある溝です。
若いころはお肌にハリがあるために目立たず、加齢によって肌の状態が衰えると目立ち始めると言われています。 確かにお肌の状態もあるのですが、それよりも根本的に小鼻の変形が頬と上唇の溝を浮き立たせているのではないでしょうか。先ずは小鼻の変形を正すことが先決だと思います。

鼻の穴の広がり。これは小鼻の形の崩れが原因です。小鼻は上下とも皮膚です。ですから正顔法のスキンケアの対象としてアプローチしてみると、実際に鼻の穴を引き締めることができるのです。

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