小顔というキーワード、その情報がメイクの技法やフェイシャルなどで盛んに発信されています。
「今よりもう少し顔が小さくなれば、可愛く見えるのに」 って皆さん思われるでしょ。 では、顔が大きい、小さいとは、何を基準に判断しているのか。 今の自分の顔より小さくなら、今の顔のサイズが基準。それは体全体のバランスや肩幅からみて、頭の大きさの比率、その見た目の判断です。
ここで、顔のサイズの定義をはっきりさせておきます。 これは、肌張力正顔法の定義です。 もともと、遺伝子に沿ったそれぞれの顔のサイズがあります。それは、見た目にも体全体に対して妥当な頭の大きさです。そのもともとのサイズが基準です。
これは、私の年齢別にならべた写真。 30代から今の50代まで、体重はさほど変わっていません。
左の30代の顔。右の40代、50代と比べ、顔が大きいのが分かるでしょ。これが「顔が大きくなった」という状態。 もともとの顔の大きさから、肥大することを正顔法では指しています。
年齢とともに、顔がだんだん大きくなる。体全体から見ても、バランスがおかしい。ご自身の若い頃のお写真と見比べてみてください。 年齢とともに、顔が大きくなってしまうなら、この3枚の私の写真は逆行して小さくなっています。もともとの顔のサイズより大きく変化したなら、もとにも戻れる。ですから、顔を小さく戻すことはできるんです。
では、「なぜ、顔が大きくなるのか」その現象も顔の変形からきています。 そのプロセスを説明していきます。
顔が大きくなるという現象は、大別すると2つあります。
①顔そのものが肥大する
②頭の位置が変わって、さらに大きく見える。
これは体より顔が前に出る。前傾姿勢でバランスが低くなって、前に出た顔が大きく見えてしまう。
この2つの現象の原因は同じです。顔の変形とともに顔も大きくなってくるんです。
では、①の「顔そのものが肥大する」について、もう少し詳しく説明します。
単純に顔が大きくなるといっても、様々なタイプがあります。その代表的なタイプをいくつか紹介します。
①均等拡大型 :顔も頭もひっくるめて、全体に大きくなっていくタイプ。
②おはじき型:顔の中心が窮屈そうに窪み、逆に外側が張り出す
③ベース型:目・鼻・口の周囲が硬くなり、エラも張り出す。男性的顔立ちになるタイプ。
④むくみ定着型 :目・鼻・口が離れ、むくんだ寝起きのような広がり方をするタイプ。
こういった顔の肥大。これは、顔の変形に沿って、顔の面積が広がっているということです。顔の面積が広がる原因は、顔の立体構造の扁平化です。
顔の中心に寄ろうとする皮膚の張力は、中心を軸に下部組織を盛り上がらせ、ふっくらとした顔の立体を維持しています。それが、長年の表皮の圧力によって皮膚の張力が阻害され、鼻や口元、頬の盛り上がりとか、顔の高さのある部分が扁平して外に広がっていきます。その分、面積が四方に広がって顔が大きくなっていく訳です。
さらに、部分的に言えば目や口の口輪筋の広がりも顔の面積を広げる要因です。
この輪筋は、広がりながら下方へ垂れ下がりもともとの顔の輪郭を崩してしまいます。実際の面積が広がることにプラスして、輪郭のシャープさがぼやけた分、顔を大きく見せてしまいます。
そして顔の肥大に比例して、体も大きくなる。 通常、太ればその分、顔も体も大きくなりますよね。ここで言う体が大きくなるというのは、体重が増えた状態のことではありません。体重はさほど変わらず、膨らんだ状態を指します。
イメージしにくいと思いますので、この施術前後の写真を見て下さい。左右で足の幅の違いが判るでしょうか。
左側は、顔の変形を戻した際に、足全体のサイズが変化した様子です。個人差もありますが、短時間で起こったこの現象は、体重の増減とは関係ありません。膨らんでいたものが、戻る。そのような変化ができる状態のなかで、大きくなっているということです。この体の膨らみは、肩の位置を上げ、首を詰まらせてしまいます。
イラストにあるように、体全体にあるゆとりの空間を狭めてしまう。首や、脇の下からウエストなどにある隙間が狭くなる。
これは、体全体のラインが崩れるということです。ですから、顔の変形は顔自体も肥大させ、それと連動して体がふくらみ、ラインを崩してしまう。体重がさほど変わらないのに、太って見えてしまうんです。
ダイエットしても体がすっきり見えない。そんなときは、顔からの影響によるラインの崩れも原因していると考えています。ただ、実際には太ることと顔の変形からくる膨らみが混ざっている場合が多いので分かりにくいと思います。
体重が増えて太ったのと、顔の変形からくる体の膨らみ。この2つの違いを説明します。
顔の肥大に連動して起こる体の変化。 先ほど述べたように体の軸も前傾姿勢になってしまう。
すると、
・首がつまる
・肩回り、特に背中側が大きくなる
・バスト、ウエスト、ヒップが下がる
・足首が硬く太くなる
皮膚は体を包む大きな1枚のシートなので、顔に起こる皮膚の歪みは全身の皮膚の歪みにつながります。 特に、動きの起点となる関節部分の皮膚の歪みは大きく、形状を変えてしまう。顔から一番遠い足首が一回り大きくなるのもそ現われです。
そして、関節部分の皮膚の歪みは、関節の位置を下げて 関節と関節の間の部分、足なら腰から膝までの太もも、膝からくるぶしの間のふくらはぎなどを膨らませていく。そんな現象が見られます。
この現象も、形状を維持する皮膚の働きが阻害され、皮膚からの圧力の乱れが下部組織を緩めてしまうという影響を与えていると考えています。 それが、体重より太って見える、ラインが崩れるという見た目に現れるということです。
次に、もう少し具体的に顔の広がりの仕組みを説明します。
皮膚の張力は下部組織を中央に寄せて、顔を立体的に維持しています。それを崩す代表的なものが、輪筋。 目と口の輪の筋肉、眼輪筋と口輪筋です。 この輪の筋肉は、円周全体が広がっていきます。
目の広がりと口の広がりは、鼻で重なり合うことになります。
その重なり部分で見られるのが、帯状毛穴です。この重なり合った部分は、二重に歪み圧が大きくなることによって、しっかり変形を固定させてしまいます。目と口から、組織が放射線状に広がって固定してしまう。
分かりやすくいうと、このようなお年寄りに見られる顔の状態です。
鼻の構造は、穴を維持する複雑な構造になっています。 空洞を維持してる訳ですから、もともと立体的に歪みやすい部分です。 そこに、目と口からの歪みの圧が加わるので、余計に歪んでしまう。
目と口の輪筋の広がりの様子ですが、どちらが上で下なのか、その浅深の位置関係ですが、目が表層で口が深層だと考えています。 なので、目からの広がりは鼻の表層を押し広げる。口からの押し広がりは、鼻の深部を押し上げる。それが同時に起こると、顔の中心にある鼻を硬く盛り上げながら広げるので、それに合わせて周囲の膨らみも消えて突っ張ったように中心に寄ってしまいます。 この状態が強く現れると、神経質そうな般若的顔つきに変わってしまいます。
鼻にかかる圧によって、鼻自体の形状がどう変わるのか。 それは、鼻腔が垂れ下がるように鼻が下垂してしまう。しかもこの下垂は、目と口の輪の広がりをしっかり固定させてしまいます。 鼻が変形した時の皮膚張力のベクトルは、鼻を起点に2つに分かれています。
背面に向かうベクトルは鼻から頭頂に向かうので、吊り上がるように皮膚を緊張させています。 鼻を軸に背面は上へ、前面は下へと向かうので、上へ向かうベクトルが顔を前へ突き出すような位置で全体のバランスを取ろうとします。
そうなると、歩く時も顔を進行方向に突き出し気味になっています。このバランスはある意味、顔の変形に対応した体の反応なので、姿勢を正す習慣とか、本人の意識だけではどうにもならないかもしれません。
顔の変形からくる姿勢の悪さや太って見えるのを見分ける簡単な基準。
胸を張って左右の肩甲骨にくぼみができる状態で姿勢を正したとき、胸やお腹が突き出て体をそらすように真っすぐ立とうとする場合は、それにあたります。これは、下がった前面を引き上げようとしたとき、前面を一つの塊のように大きく起こさざるを得ない状態です。
皮膚と下部組織の滑走性があれば、それぞれが単体で連動して動くのですが、癒着があると一体となって動くようになるからです。
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