顔の形と線維

今回は、皮膚の下にある下部組織を構成する線維と顔や身体の形状の因果関係について書いてみます。
以下に述べることは、私独自の切り口による物事の捉え方だとご理解下さい。まず、形って何だろう? という問い。

私たちの身体は立体構造です。中身のつまった図形です。それは、表面を曲がった「面」でつなぎ合わせると表現することができます。面は線の集合であり、幾つもの曲線を重ねることで三次元の立体が現れます。

これは、コンピューター グラフィックス。三次元画像で物体の形状を作成するベースです。曲線に沿って、面を重ねていきます。

そして、曲線の細部を埋めると、顔が表現されました。
このように顔を表現するときの方法と、表現対象の主体の構造は不思議と類似しています。三次元を表現する曲線は、身体を構成する「線維」にあたります。無数の細くて長い物質の集合で、身体の立体構造が出来上がっています。

人間は60兆個といわれる無数の細胞から成り立っています。 細胞が集まって筋肉や皮膚を構成する組織になり、組織が集まって胃や腸の器官となります。その組織の多くは線維の集合体です。細胞性のものが、筋線維、神経線維。非細胞性は、結合組織の線維です。
結合組織は、組織を互いに結びつけ、器官や組織の間を埋めています。骨、軟骨、脂肪、腱、靱帯、真皮、皮下組織などがそれにあたり、コラーゲンからなる膠原線維や弾性線維から構成されています。
このように、私たちの顔や身体自体も、線維状の物質、すなわち無数の「線」で形状が出来上がっているのです。

この線は、柔軟性を持っており、曲げ、ねじれ、伸縮することができ、変形形状が可能です。だから、立体の身体が無理なく動くのです。身体は、何重もの線が積み重なって厚みを持ち、立体形状が出来上がっている物体です。
分かりやすく言えば、糸巻きでできた球体のボールのようなもの。

顔の表情筋などの下部組織も、線状の無数の線維が束になって集まり構成されています。


なら、この「線」がもつれたらどうなるのか?
線維の配列や走向にゆがみが起こったらどうなるのか?
内部の「線」は立体的にゆがみます。そのゆがみのベクトルを、最終的には皮膚表面の平面で受け止めます。歪みの連動は海の波が岸壁の面にあたって砕けるように、皮膚表面の直下の組織はより複雑にゆがみます。ねじれたり、反転したり、折り重なったり。そして、そのエネルギーを面では受けきれず、逃がすかのように、他の組織(隣接する面)に広げてしまうのです。

三次元画像を構成する幾つもの「面」。

このひとつの面に、内部のゆがみが伝わり(縦のベクトル)、隣接する面にも波及する(横のベクトル)。その波及の法則として、面の集合を大きく3つに分けたのが肌張力正顔法アプローチの基本ベースです。

それは、三叉神経の支配領域に類似し、この単位で変形が起こり、部分的ではなくこの範囲まで正さないと変形を戻すことはできません。 立体構造を描くときの線がゆがむと、もちろん立体形状も変形して現れます。

これと同じように皮膚表面のラインがゆがむと内部も歪み、顔も変形して現れるのです。 ゆがみによる皮膚が受けるストレスは、はかり知れません。 そのストレスを受けた状態で、形状を維持させているのです。
ゆがみを面で受ける皮膚張力のバランスを戻すと、そのチカラはねじれを逆戻りさせるチカラとして、そのまま下部組織のゆがみに連動します。 実際に皮膚も下部組織も、単体でありながらその境目は、繊維で密接につながっているのです。

ですから肌張力正顔法は、皮膚を利用して形状のコントロールを行います。 顔の変形には、表面の皮膚の劣化と内部のゆがみが同時に起こっています。 内部が正常に戻ろうとしても、皮膚に柔軟性がないと、その戻りの動きに反応できず逆にストップをかけてしまうのです。なので、顔変形のアプローチには、柔らかな皮膚の状態に戻すカタチ洗顔が必要なのです。

そして生物の変形は、とくに厄介です。形状と機能がリンクしているからです。 生物は進化の過程で、生きるために必要な機能を有するために、見た目の形状が変化していった。 ですから、私たちの身体は、外見の形が崩れると、運動や生理機能が上手く働かないということです。

顔のラインが変わる、目・耳・口の位置がずれる等の形状の変化だけでも、表情の動きの違和感、思考や感情、倦怠感や体軸のゆがみからくる様々な症状が現れます。 先述のように、顔の形状を単純に線の集合とイメージすると、線維の線が、想定外の伸長や萎縮を強いられたままの状態で、表情の複雑な動きが加われば、表情の度に締め付けられるような苦しさがあって当たり前なのです。

ただ、顔が苦しいとか顔変形という概念がないため、他に理由をさがし、精神的問題だろうか、などと迷子になってしまいます。 また、あまりにも慢性化していて、顔の違和感にも気づかないのが現状です。

身体を線の集合として捉えると、顔の皮膚から身体全体に波及する説明が分かりやすくなると思います。
例えば、「目」。 穴の形状は、線の配列も複雑です。眼窩(目の組織を入れ込む球状の骨の窪み)に眼瞼板を浮かせるようにつながっている眼瞼靭帯。 線維のゆがみ、ねじれが反転を起こす部分で、これによって目の高さ(頭尾に対しての位置)や、傾き(目尻の垂れ下がり)、目頭の痩せと垂れ下がり等を引き起こします。

すると見た目には、目の周囲の形状がかなり痩せ広がり、やつれた状態になります。 目の周りにこの変形が起きると、腹部の膨満感や下腹部の張り、ウエストや腰の位置の下垂、足のむくみなどを招きます。

なぜ、顔から離れた部位に影響するのか?
私の線維仮説。 身体の立体形状は、無数の線(繊維)のかたまり。

面(皮膚表面)のラインがゆがんでいると、線でつながった内部も同時にゆがんでいる。 すべての線は連動し合い、ある部分でゆがみが生じると、そのチカラをそれぞれが蓄え合う。 外界に接する皮膚は平面なので、ゆがむと内部の線への影響が強い。 線維の集合の組織は膜でおおわれた単体だが、その範囲を超えて密にこまかな繊維が伸びている。
だから、身体はブロックのようにそれぞれが単体でくっつきあっているというより、無数の「線」が重なり合う一体のもの。 そのような構造だと捉えると、一部が歪むと全体が変形のエネルギーを受けてしまう。

目の変形が、足のむくみや血行不良を起こす。
これは、目もとの形状のゆがみが、線維のネットワークで足の内部の線(線維)をゆがませているからです。 ある部分の変形の影響を、特に強く受ける範囲があるのは身体ができるプロセス(発生学)も関係しています。

私たちの身体は最初に頭と尾の部分が作られ、その間を埋めるように身体が形成されていきます。 頭と足など、場所が離れていても身体がデザイン化される過程でみると、線維構造と神経伝達がより強く伝わり、反応するグループがあると思われます。 身体の仕組みや機能を、正確に理論付けることはできません。

日々、目の当たりにする不思議な皮膚の反応を経験する者が、その不思議さを捉えようとしたとき、複雑なものを単純化させてイメージに変換させたのが、今まで述べた内容です。
このようにイメージさせるほど、皮膚という臓器がもつ影響は想像以上に大きい。 組織の線維と皮膚の連動性、身体への影響は医療だけでなく、様々な分野でもっと理解が進むべきだと考えています。

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