顔変形にはパターンがあるⅠ

加齢とともに顔が変わっていく。
この変形は、どのようにして起こるの?

顔の老いは、このようにある程度パターン化した老人独特の変形を遂げます。

この老人の顔に至るまでの変形にはステップがあり、その段階を分かりやすく解説してみます。顔の変形は、顔全体が歪んでいくのではなく、あるまとまりの単位ごとにぶつかり合い、せめぎ合って起こります。いびつな面積、体積の変化が起こるのです。

今回は皮膚面積が拡大する「拡大プレート13個」の変形の視点から、老顔のプロセスをご説明します。この変形に至るまでのプロセスを把握することで、予防する手立てが掴めます。(この他にも、何種類かの視点でプレートに分類できます)

将来起こる顔の変形は、顔の変形の単位であるプレートに分類する事ができます。プレートは、歪みのない原型のうちは、プレートとして現れる事はありません。長い年月をかけて起こる角層堆積によって、皮膚面積が広がり、その結果、形の変化が現れるものです。

皮膚面積は、一様に広がるのではありません。内部構造の動き、角層の層数と外部刺激による層数の異常、当然スキンケアが大きな要因です。そして、それぞれのプレート内でのバランスの崩れがどのように起こっているかを把握する必要があります。

変形は、図で示すようにこのプレートの一つ一つが外方向に圧をかけながら広がる事で起きます。ある一定までは、それぞれのプレートは跳ね上がったり逆にくぼんだりする事なく、その形は折り合いをつけています。一定の堆積レベルを超えると、その圧力を緩和する為うねり始めます。ひどくなると、プレートの繋ぎ目は、陥没し骨格に固着し始めます。

プレート同士は、互いに影響し合っています。一つ一つのプレート内の内部の構造によって、そのエリアの広がり方が決まってきます。その様子は場所によって様々ですが、結果的にその内部の広がりが起きていることには違いがないので、プレートの周囲には圧を逃がすため線上の窪みまたは逆に盛り上がりが発生し始めます。これが顔に現れるシワやチューブ状の盛り上がりの原因です。

13の拡大プレート

①生え際プレート

・プレートの状態、症状

 額から頭皮、その境目に皮膚が硬くなり、盛り上がりや張り出しが起きます。生え際の毛が伸び切らなくなり、毛質が縮れたりボサボサになります。また、生え際の毛に白髪が多くなります。

・動きへの影響

 本来、頭皮と額は、さほど質感がはっきりと違うわけではありません。ところが、この部分のプレート化が進むと、額と頭頂部がしなやかに連動しなくなります。前頭筋と棒状腱膜がスムーズに連動しなくなり、頭部の緊張や、額の動かしにくさを感じるようになります。

・苦痛

 常に緊張する為、頭痛や孫悟空の輪のような締め付け感がでます。

・原因

 頭皮はシャンプー剤で、顔は洗顔料で洗浄します。この時の洗い方、度合い、すすぎ方のクセが原因で、この部分の皮膚が硬く堆積し始めます。また、それによって、前頭筋の動きがそのまま棒状腱膜に連動性しにくくなる事で、更に頭頂部の緊張と額の硬化と盛り上がりが起きます。

・因果関係

 後頭部から首への移行部分に緊張を起こし、肩や首のこりがおきます。

・改善プラン

 連動箇所や第1枝を含め、丁寧にこの部分の洗顔を行います。

②左右額プレート

・プレートの状態、症状

 眉から生え際にかけて、眉の形を繰り返す様な波紋状の皺ができます。

・動きへの影響

 本来、瞼、眉、額、生え際、頭皮は、一つの連動したなだらかな動きを共有できています。ところが、その全体の動きは、各箇所で分断され、前頭筋は眼輪筋の動きとのスムーズな連動性を失います。きしむ様な額だけの動きとなってしまいます。

・苦痛

 常に、額の緊張感を感じてしまいます。驚いたとき、笑おうとするとき、常に額や頭皮に緊張がもたらされるので、疲れやすくなります。日によってその度合いは変化するので、酷い日には、人に会う事を避けたくなります。

・原因

 第1の原因は、まぶたの皮膚の堆積です。それによって、眉、額へと派生し、堆積と硬化の連鎖が起きます。第2の原因は、精神的ストレス。ストレスは、眉間やまぶたの皮膚を硬くさせ、その連鎖は、三叉神経領域第1枝全体へと派生します。

・改善プラン

 まぶたの角層堆積を整える必要があります。また、同時に眉・生え際・こめかみも一緒に整えます。乾燥させない様、丁寧な洗顔技術が必要です。

③額の正中線プレート

・プレートの状態、症状

 左右の額の盛り上がりと圧は、正中線上で重なり合います。その重複した圧で、正中線は縦に長くなります。それによって、眉頭は上へ吊り上がり、眉間のシワができます。

・動きへの影響

 表情を動かすと、それに合わせて眉頭が極端に上に吊り上がったり、眉間にシワが入ります。

・苦痛

 顔を少しでも動かそうとすると、眉間から額に力が入り、頭全体が締め付けられた様な緊張が走ります。この状態で、気を遣いながら長く人と話しをするときなどは、かなり疲れてしまいます。思考力の低下も伴います。

・原因

 この部分はさほど美容的に取り上げられる部分ではありませんが、この部分の角層堆積による可動性の劣化が、額の正中線の硬化と縦長を悪い意味で支えています。

・改善プラン

 左右額の改善とNSLの角層堆積解除が、最重要課題となります。先ずは、この二つのエリア改善し、その影響を解除してからの対応となります。

④眉プレート

・プレートの状態、症状

 眉の皮膚が、瘤のように盛り上がる、または前頭骨が出っ張っているかのように見えるほど突出してくる。眉の毛流が乱れる、眉頭が吊り上がり眉尻は半円を描くように下がる。こめかみとの境目に段差の様なシワができる。眉の盛り上がりのすぐ上に、窪みの様なしっかりとしたシワができる。眉と並行する様な窪みが、約5ミリ前後下にできる。

・動きへの影響

 驚いたり、横を見る時など、眉が極端に盛り上がったり上下したりする。

・苦痛

 眼輪筋、前頭骨同士の柔らかい可動性が損なわれている為、少しでも眉が動くと、頭頂部全体に圧がかかり不快感、締め付け感を伴います。

・原因

 顔全体は産毛で覆われているのに対し、眉ではしっかりした毛が密集しています。この落差を考慮せず洗顔を行う為、洗い不足、すすぎ不足が起きてしまい易いところ。また、まぶたの角層が堆積し、それが眉の皮膚への影響する事となり、更なる悪化を進めてしまいます。

・改善プラン

 眉の洗顔を入念に行うことは不可欠です。しかし、それによって一旦堆積した角層によって硬くなった内部の組織は、周囲のプレートの影響をかなり受けてしまっています。先ずは、まぶたと額、こめかみのプレートとの改善を優先しましょう。その後、眉の皮膚が徐々に緩みやすくなるので、その後に、積極的な洗顔を始めましょう。

⑤鼻の正中線プレート

・プレートの状態、症状

 鼻筋の張り付き感、硬く痩せる、骨張って長くなり下がる。笑った時に、パキッと軋む様に突っ張る。

・動きへの影響

 顔の動きは、全体の柔らかさによって可能となるのです。鼻筋の柔らかさ、目の動きには欠かせない要素で特に重要です。いーっとした時に、鼻筋がこわばる度合いに合わせて、目の組織も強張ってしまうように、連動しているのです。一見、別々のものと思いがちですが、額や上顎、頬の動きにも必要な柔らかさです。また、骨格と軟部組織は全く一体化して動いているのではありません(皮膚と骨格の関係、参照)。皮膚は定位置で静止していても、内部の顔面頭蓋は揺れる様に動いています。特に、鼻筋は、鼻骨と皮膚がもともと近く、タイトに繋がっていながらもずれ合う部分です。この部分の可動性が失われてしまうと、顔全体、身体全体の柔らかくしなやかな動きができなくなります。そして、身体全体の代謝低下にもつながり、太りやすい、疲れやすいなどの症状に繋がる場合があります。

・苦痛

 頭頂部こめかみ、額、上まぶたの縁の緊張が常に起きます。これは、本来皮膚と骨格の揺らぎ合いが損なわれた結果、起きる緊張です。副鼻腔の慢性的な炎症を招くことも多く、アレルギーと判断されることもあります。また、目の皮膚との連動性があるので、瞬きや目の動きによって常に緊張を感じます。

・原因

 鼻筋は、洗顔で汚れや垢を取り除きにくく、その結果必要な柔軟性が損なわれて起きます。目や頬の皮膚の硬化と堆積、ストレスによる眉間の硬化によっても起きます。

・改善プラン

 一旦角層が堆積してしまうと、それに合わせて内部組織の緊張が起きているので、その状態でいきなり洗っても、さほど改善は見られません。先ずは、頬・眉間・目の皮膚の堆積と硬化改善し、それから取り組みます。

⑥こめかみプレート

・プレートの状態、症状

 こめかみに窪みができ、年齢と共にその窪んだスペースは広がります。本来の配置に割り込む形になるので、頭頂部が上に盛り上がる、逆に顎が下垂すると言う現象も伴います。

・動きへの影響

 こめかみには、眼輪筋の一部もあり、目の動きにはとても影響の強い部分です。こめかみが広がると同時に、引き伸ばされた緊張で皮膚はプレスされた様になり、それが眼輪筋全体の動きを阻害する事になります。笑った時に、こめかみ上部では、上方向に吊り上がる様なシワが突っ張りながら入ります。また、その下である目尻に乾燥した波紋の様なシワが入ります。これらのシワは乾燥によるものではなく、皮膚の緊張と堆積による柔軟性が失われた事により起こります。また皮膚エリアで言うと、第1枝と第2枝の境目に起きる分断の現象なので、この方向のシワになります。本来、第1枝と第2枝の寄り合うための動きの阻害が起きていると言うことです。

・苦痛

 いわゆる、孫悟空の輪の苦痛が起きます。笑う時や何かの表情の時、常に緊張による不快感を感じる事になります。目を動かしにくいため、人と会うのが苦痛になったりする場合があります。

・原因

 頭皮の脂分とそれに含まれる成分がしつこく残りやすい成分である事、洗い漏れしやすい部分である事などによって、角層の堆積が起き安い部分です。その結果、第1枝と第2枝の分断が定着する事で、変形を招きます。

・改善プラン

 先ずは、第1枝の角層堆積を細部まで正常化するための、洗顔が必要です。次に、第2枝を細部まで整えます。特に上下まぶたは、大きく関係しています。上まぶたは第1枝、下まぶたは第2枝なので、眼輪筋上の角層をしっかり整え始める事が、スタートとなります。

⑦目のプレート(眼瞼及び眼窩部)

・プレートの状態、症状

 コンパクトでふっくらした瞼(まぶた)は、立体感を失い平面的になります。その為、眉から涙袋下までの距離が広がります。酷くなると、瞼の組織の凹凸が外からも見て取れる様になります。さらに進むと前頭骨と上顎骨の距離が離れ始め、これによって、眼輪筋の土台となる骨格は上下に広がってしまいます。額や眉間、こめかみが上またはは斜め上に広がり、下は頬や鼻の位置を押し下げます。

・動きへの影響

 額から頬にかけての動きは一体感を失う事になります。額は額だけで上下に動き、眉、瞼、頬も押し広げられたその位置で軋む様にしか動けなくなります。

・苦痛

 目の奥が痛い、目の疲労感、頭痛、鼻がすっきりしない、副鼻腔の重さを感じる様になり、精神的に疲労しやすくなります。思考能力の低下を訴える人もいます。精神的に余裕がなくなる人もいます。受診すると、更年期障害や眼精疲労と診断される事がよくあります。

・原因

 瞼は、ミュラー筋、眼瞼挙筋、眼瞼板などがあり、それぞれこれらの組織と正しく連動できていれば、内部構造が複雑な動きをしてくれます。つまり、瞼の皮膚が正常に収縮したときは、同時に周囲の組織は目の中心方向に集まります。これらが正常に行われる為には、皮膚が柔らかく、その面積を小さく出来るだけ柔軟性と正常な角層の層数が必須となります。ところが、瞼の角層は本来の8層を大きく堆積した状態へと変化します。つまり普段から、不必要な垢をスムーズに取り除くスキンケアが行われないのが原因です。

・改善プラン
 瞼の皮膚を乾燥させない様に不必要な垢を取り除くスキンケア。と、同時に周囲の組織を再び中心である目に戻れる様、施術で誘導する必要があります。

⑧頬骨プレート

・プレートの状態、症状

 目頭から目尻、こめかみまでが一体として盛り上がっているのが理想ですが、その盛り上がりが消え始めると、高さを失った分、目のエリアが押し下げられ、緩み切ったハンモックの様に、垂れ下がり始めます。頬骨トップと眼裂の間にあるはずの組織は、頬骨トップ辺りに移動するため、頬山が瘤の様に盛り上がります。眼輪筋エリアと頬エリア接合部分が裂けるように離れ、目の下のクマができ始めます。それによって眼輪筋は斜め45度下横に引き伸ばされるため、カラスの足跡ができます。つまり、カラスの足跡は、乾燥から起きるのではなく、位置の移動による組織の分断によって起こる亀裂の様子なのです。また頬と鼻は、繊維構造が密に繋がっているので、その位置の変化は鼻筋の癒着も起こします。

・動きへの影響

 頬が正しい位置にあるとき、目や鼻、口の動きは正常である事ができます。眼輪筋の下半分は、斜め45度に引き下げられる事になるので、目尻が下がった位置で固定されます。その状態で笑えば、困った様な貧弱な笑顔になります。カラスの足跡状になる目の下のシワも、この理由から起こっています。繊維構造が下がったまま固定されているので、鼻背に軋む様な突っ張りができます。

・苦痛

 常に、目の疲労感伴います。咬筋に力みを感じる場合もあります。

・原因

 目の周囲の皮膚の堆積による眼輪筋の緩みと、それによる皮膚エリアの尾方向への移動が主な理由です。また、頬は日光、風などの外気の刺激を受けやすいので、角層が乾燥し、それによる硬化が要因の一つに考えられます。

・改善プラン

 先ずは、目の周囲と頬の角層堆積解除が必要です。また、この部分は第2枝と第3枝にあたるので、こめかみ、頭皮、小鼻、上顎の施術とスキンケアを同時に行う必要があります。

⑨NSLプレート

・プレートの状態、症状

本来あるはずのないエリアが、変形と共に現れるのがNSLです。眉頭、目頭、鼻背横、ほうれい線外側に盛り上がった帯状の瘤のような一帯ができます。毛穴の広がりと乾燥、角層の極端な堆積が起こります。また、上顎骨が浮き上がったように鼻背に骨ばった盛り上がりができるのも特徴です。骨の浮き上がりについては、ブログ/正顔法理論「骨格が浮き上がる」参照。

・動きへの影響

 本来、このNSLは現れませんが、目の周囲、口の周囲の面積拡大によってできる重複部分に、後天的に出来上がります。目の動きに必要な眼輪筋エリアの組織は、このNSLに癒着して固定されたままになるので、目の周りは広がり窪んだまましか動けなくなります。口も同様で、ほうれい線で囲まれた顎部分は広がったままとなり、ガバガバとした粗雑に感じさせる様な動き方になります。

・苦痛

 副鼻腔がスッキリしないなどの症状を伴う場合がよくあります。上顎骨、鼻骨が極端に浮き上がることにより、前傾姿勢を強いられることになり、その為、首に違和感を感じ、肩の力が抜けないなどの症状が出る事がよくあります。また、頭頂部の緊張、脊骨の緊張、股関節の可動性に困難を感じる事もあります。

・原因

 角層の堆積は、洗顔不足でもおきますが、それと同じくらい、その深部に繋がる組織の緊張によって起こる真皮の緊張が大きな原因でもあります。周囲のエリアの異変によって、後天的にできるものです。

・改善プラン

目と口の複合で皮膚の堆積面積が拡大することで起きる現象。先ずは、洗顔での地道なアプローチが施術前の準備として必要です。

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